2014年 02月 02日
建ててくれてありがとうな建築 |
僕の設計した住宅を見てくれた時、「佐野さんの建物は、建ててくれてありがとうと自然に思えてくるんです。」と言ってくれる女性がいる。その言葉をときどき思い出している。
お施主様ならいざ知らす、彼女は赤の他人様です。最初に聞いたときは咄嗟に不思議なことをいう人だなと思った。その後、見学してくれるごとにそう言ってくれる。深いところに共感してくれたようで彼女には感謝、感謝なのである。
そこで一度ご本人に向って、「どうしてそう思うんですか?」と尋ねたことがある。そうしたら自分でもお分かりにならないらしく、要はそういう思いが浮かんで来るのだという。
自分でいうのも何だが、設計している時に人知れず苦しんでいることがあるのだがそれが報われた気がする。だから励みにもさせてもらっている。
確かに苦しみの伴わない設計のやり方もあると思う。その方が楽でいい。しかし、いざやり始めるとそういうことにならない。一作ごとに苦しんで生み出すことを僕はやっている。
昨年の秋に完成した作品は、日程があわず内覧会では見てもらえなかったが、また見る機会がありそうだとのこと。彼女のコメントを聞けせてもらうのが楽しみである。
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by maruyama834
| 2014-02-02 18:37
| 日記