2015年 06月 18日
グループデザイン 住宅団地「平田107」 |
今マスタープランを提案している住宅団地「平田107」。
先のブログで鳥瞰スケッチを投稿しているその模型です。
昨日のこと、事業主の担当者から正式にこの計画を前に進めることになったと
連絡があった。
大きな節目をこれで越えたことになる。
ホッとする。
会社で自分の夢をずうっと追いかけてきた担当者の喜ぶ姿が浮かんだ。
ゴーサインを出した社長ほか幹部の英断を思う。
言ってしまえば営利目的のビジネスだが、社外にこの事業の内容に共感して
くれる多くの関心や協力者が集まってくれた。
思えば珍しい現象が起こっていた。
もちろん入居を考えてくれる家族がジワリと増えてきたことが大きい。
自分が関わるなら、社会を巻き込む仕事がやりたい。
それには、社会を巻き込める仕事でなくっちゃ。
巻き込めるには、従来とはひと味違う内容のコンセプトがあって、
それを社会に向けて自信をもって提案できる魅力がなくっちゃ。
それが受益者(事業主や入居者)の喜びやニーズ、利益になるんだから。
ここでは価値観の共有を目指して大きな中庭を設けた。
そして一戸一戸の個の要望と住宅団地全体の魅力のバランスをどうつけるか。
十回以上のヒアリング(座談会)や社内会議で出た意見が、
この模型に込められている。
普段の建築作品をつくる仕事では、デザインの追求に多くの時間を費やす。
そこでの提案は、技術だったり新規な建築デザインだったり。
ところが、ここでやっているのは、建築家個人のデザインというよりは
様々な立場の人が何人も集まって一緒に進めるデザイン。
その人たちとは
平田で土地を探していた人、
たまたまこの構想を知って関心をもってくれた知人、その友達、
協力をお願いしたNPOの人、
まちづくりに関わっている人、
などなど。
地域の明日を共に切り開いていく思いがエンジンになっているのを実感した。
そんな垣根なく集まったグループで行うデザイン。
私がやったことといえばコンセプトの提案と、
みんなで出した意見を聞いて図面に置き換える作業が中心。
こうしてみると、デザインにはどうも二種類あるのようだ。
普段の個人デザイン、そして今回のようなグループデザイン。
これから入居者も固まっていく。
さらなるグループデザインで、どこまで従来の住宅団地の殻を破れるか。
それが、きっとここでの暮らしの幸せにつながっていくことだろう。
by maruyama834
| 2015-06-18 11:55
| 都市デザイン