2015年 01月 29日
本当の豊かさを取り戻す・創造する住宅とは |
新しいタイプのプロジェクトが持ち上がった。
これから本格的なスタートとなる。
今はその準備中という段階だが、今朝早く目が覚めて
夢か現(うつつ)か、これからの住宅像のイメージが浮かんだ。
このところ、経済成長と住宅との関係が気になっていた。
建設行為というより、戦後の日本のライフスタイルの変化を眺めるなかで、
気になってきたことです。さかのぼれば、僕の40年近く前からの気がか
りでもあったことだ。
例えば、「冠婚葬祭」、「ハレとケ」、といった家族の一生に関わること
や、暮らしの歳時記的行事などで地域や氏神様と関わるようなライフスタ
イルを切り口にして、今の住宅を眺めたら何が見えてくるだろうか。
それが、今朝のベッドのなかで浮かんできたこと。
そこには、経済成長のために結果的に売り渡した暮らしの部分があるので
はないかという見通しだ。その結果が、今の日本の生活を平準化したり薄
っぺらいものにしてきた面があるのではないかと。
「物の豊かさから心の豊かさの時代」と言われて久しいが、家族や近隣で
行っていた、冠婚葬祭や歳時記といった暮らしの「ソフト」を、専門のサ
ービス業という経済活動に置き換えて日本の経済成長の一翼を担ってきた
ところがある。その経済成長の時代とともにモノが溢れる生活が始まった。
それと同時に、心のホントの豊かさを感じる機会も少なくなっていった。
そこに、経済行為に置き換え過ぎた日本の戦後の現代生活があったのでは
ないか。それが、心の豊かさを感じにくい一番の原因ではないか。
じゃあ〜、どうやって現代生活にそんな心の豊かさを感じられるようにす
るか。暮らしのなかで経済活動に譲り渡しすぎたところがあれば、それを
住宅に取り戻すことが必要ということだ。
昔の暮らしは冠婚葬祭も歳時記も住居とともにあったのだから、そこに戻
ろうとしても、無理がある。ならば、新しい形の創造や今風にアレンジし
た冠婚葬祭や歳時記を、現代住宅やその傍に取り戻すことだ。
人間は一人では生きて行けない。周りに助けられ助け合って生きている。
経済活動に置き換えることを全て否定するのではない。それで感謝される
ことはあることは僕もたくさん知っている。しかし、冠婚葬祭や歳時記に
関わる豊かなコミュニティーや子育てそして豊かな老後生活のイメージを
持ちにくいのなら、そのメージを変えていく必要がある。住宅で何ができ
るだろうかと考えるのだ。それにフタして、新規な住宅デザインを考える
気にはなれない。
生活の拠点や器としての住宅に、新しい形で冠婚葬祭や歳時記を取り戻し
創造する暮らしのなかに豊かさを追求する。そこに、これからの住宅デザ
インもコミットして行くことにもなるだろう。今風のことなら、専門サー
ビスの出張というのもあるかもしれない。
今回は複数の住宅に同時に関わるプロジェクトである。この集まった住宅
の一画で結婚披露宴がしたくなる。そんな子供が育つプロジェクトにした
らどんなにいいだろう。これが、今朝のベッドのなかの結論だった。
施主が喜び、道行く人が喜び、土地が喜ぶのが設計!
布団の外は寒い。夢か現か、さあ起きよう!
by maruyama834
| 2015-01-29 11:35
| 制作現場