2014年 12月 04日
程よい距離と時間 |
昨日は、ストーリーが癒しに通じることを書きました。
今日は、それに関連して、「程よい距離」について。
人は移動するとき、心も動いています。
住宅ではなく、まちのなかの移動についてのお話です。
岡山市の中心部からお客様が円山ステッチに来るには、緩い峠がありま
す。昔風にいうと、きり通しと呼ばれる山の斜面を削った峠道です。そ
こを過ぎると、景色もかわって気分も変わると言います。市内中心部か
らこの円山ステッチまで、約30分の道のり。この道行き。かかる時間。
円山ステッチに来ると癒されるというお客様は多い。そんなお客様にお
話を聞くと、ここに至る道行きも、癒しのストーリーなのかもしれない
と思うのです。
朝は何十年も前から渋滞する東山峠。西大寺と結ぶ大動脈の幹線道路な
のに、僕が子供の頃のままなので、50年以上この道は拡幅もなく改善
されてきませんでした。でも、記憶に残る道なのです。
この峠で1回道幅はすぼまって、その体験で心もすぼまって、そのあと、
長い下りの坂道で一気に爽快感が湧いてくる。この道の魅力なのでしょ
う。僕が幼少の頃、バスで通った記憶が今でも残っています。
そんな道を通って円山ステッチにやってきてくれるから、余計にここで
癒されてくれるのかもしれません。その方にとって、市内からすでにス
トーリーは、はじまっているのでしょう。
そんなことを見落とせば、ただの旧道ということですが、意識変化が起
こるのは、さっきから書いてきた峠という「空間演出」もありますが、
市内からの程よい距離と時間が、人間の心理変化のペースにあっている
こともあるようです。
せわしい日常から、非日常へ心がスライドしていく。人間のこころは、
一瞬のあいだには変わりません。癒し心理ならなおさらです。少し時
間がかかります。
円山の地に生まれた円山ステッチは、そんな距離感と時間の先に佇んで
います。
by maruyama834
| 2014-12-04 10:34
| 癒しの空間