2014年 11月 23日
よい暮らしと癒しの空間 |
先日のと投稿で、「じゅうぶん豊かで、貧しい社会」という
本をヒントに改良して僕の考える「よい暮らしのための十の価値」を紹介しました。それは、
1 健康 日当り、ケア、バリアフリー、丈夫、安全
2 安定 仕事、お金、経済、自由、地域コミュニティ、
3 尊敬 誇り、自信、
4 人格、自己の確立 職業、ステイタス、財産、志、教養、センス、自分らしさ
5 自然との調和 エコ、省エネ、庭、災害の無さ、持続可能性
6 友情 共感、仲間、語らい
7 余暇 趣味、レジャー、憩い、物欲
8 家族 愛情、絆
9 文化 感動、芸術、情報、宗教、娯楽、美しさ
10 住宅 生命財産の保護、快適性、1~9の受け皿
これらの価値を住宅の設計にいかすためには、情熱を注いで出来るだけ一
つの形に込める設計のやり方があることを紹介しました。そうして、豊か
で、飽きのこない、いつも新鮮な暮らしをもたらすことができるようにな
る。と書きました。
ここまで、話を進めてみて、これらの価値を叶えようと思って暮らすのは
大変ではないかと思う。そう簡単に手に入るものではない。人生は甘くな
いのです。
そうしてあらためて、上の10の価値を眺めていたらあることに気づいた
のです。それは、10の価値全てに関わる空間の働きがあるとすれば、癒
しではないかと!
癒し=生きる力の復活
と僕は定義したくなった。
英英辞典でhealingをひくと、bring back to(spiritual) healthという
言葉が出てくる。
こうした意味をもつ癒し空間なら、上のリストにある1から10の価値に
うまくコミットしていけると気づいたのです。
一つ事例を示したい。かつて中庭を設ける設計の住宅で、家族の絆が徐々
に蘇っていった様子を見せてもらった経験です。設計で一つの形に込めた
形とはここでは中庭でした。この中庭にそうした癒しの働きがあったとし
か思えない。その中庭が、そこでの家族の共同作業も含めて家族に働きか
ける何かがあって、それが功を奏したのだと考えています。
人は毎日食事して物理的エネルギーを補給したり楽しんでいるように、空
間で癒されることで心のなかに生きる力を復活(補給)していると考えら
れます。特別な癒しの部屋が必要なのではない。普段の住宅に「癒しの空
間」の雰囲気が自然な形で備わっていることで上の十個の価値にうまく作
用して、よい暮らしになっていくのではないでしょうか。
設計する時、僕が一番大事にしている癒しの空間とは、こういうものです。
箱庭療法というカウンセリングのやり方が以前から行われていますが、箱
庭に限らず空間には、本来そういった癒しの働きが備わっているのです。
そのことに気づき、住宅の設計にうまく活用することによって、その働き
を充分引き出せるのです。
by maruyama834
| 2014-11-23 18:38
| 癒しの空間